本格的自然釉 陶芸家武吉廣和の春の大皿展 閉じる
祝 高速道路開通  赤松30トン、10昼夜の焼成。
期間:2013年 3 2日(土)〜31日(日) 時間:AM 9:00〜PM 5:00
会場:ギャラリー 龍窯
   〒786-0097 高知県高岡郡四万十町日野地326
  <ギャラリー龍窯 地図>
   Tel&Fax/0880-23-0054
   作家携帯/090-4506-0572
   ● 四万十町中央ICより 車で25分、松葉川温泉 手前1kmに看板あり。
21世紀の芸術と観光

先月の自宅「ギャラリー龍窯」での「如月展」開催中、四万十町役場の観光課の職員の方と(社)四万十町観光協会の事務局長が、あいついで訪れた。芸術にあこがれる特殊な趣味の観光客、あるいはコレクターがわざわざ高速でここに訪ねて来てくれる実情を説明した。

私は「武吉廣和記念館」という自然釉の体系的完成をみた作家の「空想美術館」を夢見ている。
キュレーターとしてはどんな作品が欲しいかを真剣に考えている。
2000年正月の窯で「水の王」がとれたことで自信をつけ、武吉廣和「21世紀の巨匠展」を企画して以来「美術館」設立という空想を実現すべく企画を続けている。
1999年安藤忠雄設計の横倉山自然の森博物館での「ガイアピラミッド展」、2002年高知県立美術館での「VISION展」2012年「かるぽーと展」と開催を続けている。
百戦錬磨ということは大切である。

自分のファンに対してさえ愛想のかけらも無かったゴッホとセザンヌという気違い絵描きの反骨さんたちは、生前、いわばサービス業の代表格である観光業と対極にあった。
そして同じように、生前は一般大衆には悪魔の建築と嫌われ、イエスとその両親マリアとヨセフを讃える聖家族教会の建設と資金集めの途上、パンと水だけで暮らし毎日デッサン教室に通う、修道僧のようなアントニオ・ガウデイが「よろけて轢かれた時」、電車の運転手は浮浪者のただの年寄りを轢いただけだと思ったという。

ガウディの仕事の木の芽がこんな巨木にまで育ち、スペインの外貨獲得の観光の顔にまでなるとは、そして生前絵が一点も売れなかったゴッホのゴッホ美術館がオランダ観光の顔にまでなるとは、当時、共に生きていた人の誰が予想したであろう。
ガウデイがバウハウスの流れと対極の悪魔の建築、異端の建築として日本に紹介されたばかりの私の建築学生時代にも想像もつかなかった。 スーラとゴッホの点描がカラー印刷を産み、コンピューター解析がサグラダ・ファミリアの非凡な構造力学を証明してから世界的に認知された。
ここでもメビウスの輪のように、神社のしめ縄のように、かくも鮮やかに裏が表に表が裏になる。
これが人生の醍醐味というものである。

「のちのちの人類にもたらす真の観光への恩恵」というものを、ガウディやセザンヌを参考に、私は永い永いスパンで真の観光の経済効果というものをコツコツとソロバン勘定している。
わたしの人生も、たったの1年でうつろいゆくはかない権力を握っている総理大臣達の人生も、せいぜい100年というあっという間に終わる、名誉も権力も地位も札束も株券もダイヤも純金の延べ棒も財宝も美しい妃もあの世には持ってゆけない。
ひとり裸で生まれ、ひとり裸で死んでゆく。

一昨日の2.26という日に、この村の氏神様での春祈祷も終わった。これで寒かった長い冬も終り、春の農作業の準備が始まる。
北国は積雪5メートルという記録的豪雪とのニュースだが、ここ四万十町は珍しく積雪らしい積雪の一度も無い冬だった、そして鹿とイノシシがよく獲れた冬だった。
玄関先の梅もクリスマスローズも水仙も咲き、家庭菜園のエンドウ豆のつると葉もすくすくと伸び、野うさぎがやってきて白菜をかじる、私は蕗の薹とカシューナッツと白味噌を擂鉢でゴリゴリ摺って一杯やる。

この世は仮の世であろうとも、さりとても、なんとも有り難く、恵まれた青い星、地球である。
この美しい桃源郷での平和な時間はたとえ一秒たりとも、何より大切である。

    Hirokazu Takeyoshi All rights reserved.