陶芸家 武吉廣和の新作展Ⅲ 伊賀の花入れ展
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祝 高速道路開通  赤松30トン、10昼夜の焼成。

期間:2013年 9 1日(日)〜23日(月) 時間:AM 9:00〜PM 5:00
会場:ギャラリー 龍窯
   〒786-0097 高知県高岡郡四万十町日野地326
  <ギャラリー龍窯 地図>
   Tel&Fax/0880-23-0054
   作家携帯/090-4506-0572
   ● 龍馬空港からギャラリー龍窯まで 車で1時間半。
     四万十町中央ICより 車で25分、松葉川温泉 手前1kmに看板あり。

かるぽーと展の御礼


広島に原爆が投下された8月6日から始まった「マンダラアートで平和憲法ありがとう展」では、
マンダラ用紙を兼ねたフライヤーの印刷、発送が会期の2週間前という時間的に危ぶまれる状況でしたが、
いつもどうり、皆様の御協力で即刻、県外まで配布がなされ、
会期中のワークショップも含め350人以上の方々が賛同して制作してくださいました。

ママピースのマンダラアート事務局からも、あつく御礼申し上げます。
自由を表すブルーの布に金文字で「平和憲法ありがとう」と描かれた回廊を歩き、ギャラリーに入ると、
集まったA4のフライヤーに描かれたマンダラが展示されています。

長崎に原爆が投下された8月9日のよさこい祭りフィナーレを飾る花火大会では
金色に輝きつつ視野一杯に丸く広がる巨大な花火を見る度に、
青い布に金文字で「平和憲法ありがとう」と描かれたマンダラに見えたことでした。
盛大なよさこい祭りに参加する元気な若者達を見て、
平和のありがたさへの感謝とともに、平和を守る強い意志が感じられた夏でした。
ありがとうございました。

陶芸家武吉廣和の新作展Ⅲ 伊賀の花入れ展

昨年、四万十川上流にある窯場は、高知県での年間降雨量がトップクラスの地域にあることもあり、6月から9月まで午後になると決まって毎日雨が降って涼しかった。

家庭菜園の里芋の葉は背丈をはるかに越え2メートルの高さまで巨大に育ち、晩秋には落ち葉をかぶせ凍みないよう養生して、冬を越えて今年の春まで巨大な里芋が収穫できた。
今年の夏はうってかわって台風も来ない旱魃の猛暑で、里芋の葉の高さは50センチもない。
清らかな渓流を遡行しても震え上がるほどの冷たさもない。

今年5月の窯焚きは幸運にも寒く、5年間準備した甲斐があって完璧だった。
割る作品が皆無という異常さで、いまだに割山椒向付のペーパーかけが終わらない。
新作展も数回に分けて開催するほど質,量ともに過去最高の出来である。
今回は伊賀の花入れを中心に構成する。

そもそも伊賀の花入れは古田織部がデザインしたと思っている。
戦国時代の武将達の美的素養の突出は、実力がものをいう戦国時代というだけではなく、キリスト教をもたらした南蛮文化の豊穣さにあると思う。
穴窯による自然釉を一生の仕事と定めた契機は学生時代に品川の畠山記念館で「からたち」という銘の伊賀花入れを観たことにもある。
室町時代の古信楽の自然釉大壺も確かに契機になったが、美術品としての強烈な創作意志は古伊賀の花入れが突出している。
自然釉の世界では、別格。

この特殊性はその造形にあり、作っているうちに「柔軟な革製品」を意識してしまう。
作為が極まる老獪なまでのフォルムが穴窯の炎に浄化されて自然そのもののような花入れになる。
穴窯が滅んだ江戸以降の連房式登り窯での写しは散見するが、こうはいかない。
かるぽーとでは「生爪」を写した自作の花入れに酔芙蓉を一輪生けて会場の壁に掛けたが、
キリストを偲ぶような気持ちになった。
織部もキリシタン大名だったのだろう。

遥か遠く雪を頂いたヒマラヤ山脈を眺める想いで「からたち」に出会って40数年の年月が流れた。
今では、こうして40年前の青春時代には、遥かに遠かったはずのヒマラヤの凍った稜線を歩いているように感じられるのは嬉しい。

 

 
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