河田昌東氏(名古屋大学理学部)の「遺伝子組換え食品の安全性に疑義あり・・・安全性は確認されているか・・・」をネット検索で読んで勉強になった。河田昌東氏のチームには感謝している。
昔、小学校の総合学習の授業で、一日目は押し型文尖底土器の制作,日を置いて2日目は中国の雲南式での土器の焼成、3日目は尖底土器で縄文料理をそれぞれ焚き火して、自分の作った土器で、煮て食べるということをやった。
8000年前、縄文早期の香美市の刈谷我野遺跡出土の尖底土器復元で当時の生活を体験してみようという目的で、頁岩を割った石器で鹿肉、イノシシ肉を切り、やまいもをつなぎにしたドングリ団子をこねて、調味料は海水で煮詰めたハマグリを天日乾燥したものを入れて煮た。デザートはドングリ粉に山芋、蜂蜜、クルミをいれた縄文クッキー。
驚いたのは、田舎の子供たちなのに、焚き火をした経験がなく、薪を燃やせなかった、危ないのでしてはいけないことになっている、これでは何かのときにサバイバル出来ない。ひとりだけ出来る子供がいたので理由をきくと、「五人兄弟の長女で、私が毎日お風呂を薪で湧かしているから。」ということだった。
そして授業後の子供たちの感想は「味が無い!」という意外なものだった。カレーやマグドナルドハンバーガーやジュースのようなインパクトのある味が当たり前ということだろう。
真逆の当たり前のことだが、縄文時代は味噌も醤油もソースもマヨネーズもケチャップも無い、洗練されたドレッシングも無い。アク抜きしたドングリは確かに味は無いということになる、ここが1万年間主食になれた必須条件なのだけれど。
5300年前の青森県の三内丸山遺跡でマメの炭化物が土器に付着していた、分析の結果、大豆ではなく大豆の先祖のツルマメということになった。
丹波の黒豆は細胞内のミトコンドリアから、中国由来の大豆ではなく、日本に自生している雑草のツルマメを一万年間、大粒選択により改良した大豆であることが分かっている。縄文時代、各地の貝塚遺跡の発掘から海水で煮詰めて干したものの流通はあるので、雑草のツルマメの「ミニミニ大豆」と「塩」で「縄文味噌」をつくってみようと思った。
土器と海藻のホンダワラで海水を煮詰めた「藻塩」という塩の製造流通は縄文晩期に陸稲を栽培し米を食べるようになってからで、ドングリ食で豊富なミネラルを摂ることができなくなってから。
窯場のまわりやどこの野原や川岸でも生えている雑草のツルマメの実を丁度今頃、初霜の頃、何日も何日もかけて、丹念に集めて、味噌屋さんに無理を言って、「縄文味噌」を造ってもらった。
牧野植物園のIさんに持って行ったら「前々から一度は食べたいと思っていた。」と喜ばれた。
後で感想を聞いたら「一度は食べたいと思っていたが、もう一度食べたいとは思わない。」と笑わせてくれた。豆が小さくて石のように堅く、なかなか麹が食いつかないので現代の味噌のようにマイルドにはいかない、困難を極めたがやはり味噌の原点には違いなかった。
日本の大豆の自給率は、今やたったの5パーセント、現在、輸入大豆の約8割がアメリカの多国籍農薬会社モンサント社の開発した除草剤耐性遺伝子組み換え大豆であるという。アメリカではエタノール原料ブームをきっかけに、手厚い報償政策で遺伝子組み換えトウモロコシが90%以上になっている。害虫に有害なタンパク質をつくり出す細菌の遺伝子を組み込んだもので、害虫がこのトウモロコシを食べるとそのタンパク質の毒素によって死んでしまうので殺虫剤をまかなくていい。
日本に輸入されるトウモロコシの7割以上が遺伝子組み換えトウモロコシであるという。
小麦のほうは警戒感が強く、アメリカでは農場にあるはずがない除草剤耐性遺伝子組み換え小麦が自生している汚染事実が明らかになり、二つの州でモンサント社は損害賠償の訴訟を起こされている。
ミツバチが方向感覚を失い巣箱に帰れなくなる巣箱崩壊で大問題になった有機リン系農薬の一種で耕作土に最初から仕込む「ネオニコチノイド農薬」もモンサント社の製品。
こんなでは、日本の老人が方向感覚を失って家に帰れなくなる「老人の徘徊」という現象もモンサント社のネオニコチノイドのせいかなあ・・・と思ってしまう。
因みに、あの地下鉄サリン事件のサリンも有機リン系である。
我が家の軒先に、ミツバチの天敵である黄色スズメバチの大きな巣が出来た際、農薬の「スミチオン」を滲み込ませたボロ切れを割り箸に巻付けたものを夜、竹竿で大きな巣に差し込んで駆除したが、どこのホームセンターでも売っている「スミチオン」も有機リン系の農薬である。
アインシュタインはミツバチが絶滅すると、たった3年で人類は滅びると言った。ここのような山奥でも、信じられないことだが、ミツバチの数は3分の一に確実に減っている。
モンサント社は、ベトナム戦争でジャングルを枯らす「枯れ葉作戦」の「枯れ葉剤」を製造した。アメリカはベトナムで四国全体の面積に匹敵する広さのジャングルと水田に7500万リットルの枯れ葉剤を撒いた。
ベトナム戦争終結後、だぶついた「枯れ葉剤」を「除草剤」として日本に売り込んだ。
当時の窪川町の役場の「除草剤」普及係の知人は安全だとPRして液体を人前で舐めてみせた。ベトナム戦争後の奇形児、奇病の発生、ベトナム戦争の枯れ葉作戦従事兵のガンや白血病の発症で、今ではその「安全とされた枯れ葉剤=除草剤」の中に不純物として猛毒の塩素系のダイオキシンが入っていたことは誰でも知っている。
モンサント社の除草剤ヒット商品「ラウンドアップ」の除草有効成分であるグリフォサートという有機リン系の化学物質は、植物体内のEPSPSというタンパク質合成をする酵素の働きを阻止して植物を枯れ死させる毒物である。
モンサント社グリフォサート製造工場の排水中から発見されたグリフォサート耐性細菌の遺伝子を組み込んだ大豆が、「除草剤ラウンドアップ散布でも枯れない遺伝子組み換え大豆」である。
モンサント社の日本の取り引き会社は住友化学で、住友化学会長の米倉弘昌氏は2014年6月までの4年間、日本経団連会長を務めTPPを推進した。TPP後は、遺伝子組み込み作物の表示義務は無く、日本政府よりもモンサント社のほうが権力を持つ。
例えばモンサント社の遺伝子組み換え大豆が高知県の畑で栽培されるようになると、日本中の雑草であるツルマメと花粉で交雑し、除草剤でも枯れない遺伝子組み換えツルマメに変化する。さらに、日本中のツルマメを介して日本中の在来種の大豆までもが遺伝子組み換え大豆になって汚染されてしまう。
そして将来、人体にとって有毒であるとわかった時には手遅れで、放射能のように目には見えないし、もはや除染が不可能である。
これは極論だが、将来、汚染の無い在来種大豆の種子を北極圏のノルウェーのスヴァールバル世界種子銀行からそれなりの代償と利子を払って借りても、汚染を防ぐため、厳重なシェルターの中でしか汚染のない、安全、安心な大豆を栽培できなくなる。
モンサント社も、スヴァールバル世界種子銀行もロックフェラーが作ったようなものなので、細菌兵器とワクチンとがセット、あるいは核兵器と核シェルターとがセットになっているようなもの。
高知県立農業試験場で「高知県内各地の篤農家から無償で提供してもらい、ちゃんと発芽するように2年ごとに更新している高知県の在来種の大豆の種を分けて。」と言ったときに「一人にやったら皆にやらないかんから出さん!」という責任者の返事だった。次元の低さに、わたしは「県民の税金で県民の大豆研究のためにやっているのではないのか!」と腹を立てた。
このとき、日本の豆のオーソリティーが「日本の大豆はアメリカにやられた!」という意味が分かった。
もともと日本は大豆王国でアメリカに大豆は無かった。ヨーロッパには土壌中に根粒菌がいないので大豆は育たない、氷河のせいだろうか、ドイツはずいぶん頑張ったがあきらめた。
アメリカのモンサントの遺伝子組み換え大豆統一に対抗して、今や絶滅に近い国産大豆を全国統一品種にする第一段階として高知県内の農家に均一品質の「フクユタカ」を普及させ、強い食品産業に、強い供給をすることが高知県立農業試験場のミッションだと想像している。そのためには各地の個性的な色や模様の表皮や白や黒いへそを持つ、自家採種されてきた、個性的かつ伝統文化ともいえる在来種大豆は、市場では「まとまった量がない」というただそれだけで値の付かない「雑豆扱い」、さらには推奨大豆への花粉交配を忌避して「駆除の対象」としてとらえられているのかもしれない。
しかし品種として「フクユタカ」にも負けない優秀なものが確かにあるので、高知県のシードバンクとして毎年更新して占有しているのだろう。そして同じ論理で、われわれ先住民には、ロックフェラーのシードバンクにも期待は持てないことを感じた。
それからは知人友人を介して、自分の足で道の駅等を丹念に回って捜した高知県在来種の大豆やトウモロコシを栽培することにしている。
シードハンターもやってみると楽しい、だれでも出来る。
たとえばハチマキは7月に種を蒔き、11月に収穫する。5月、6月に植えると葉がほこって豆がつかない。
標高の高い道の駅や農産物直販所に珍しい在来種大豆が顔を出すことがあるのは、霜が降りる頃から年末頃まで。
物部川の奥物部の聖地「神池」から貰ってきた「ハチマキ」という秘伝の大豆を四万十川のここで栽培しはじめて5回目の秋である。快晴の日に明るいベランダに出て、毎日毎日、約1万粒の豆をサヤから取り出し、一粒ずつテェックして、1個だけチャーミングな突然変異を見つけた。
縄文時代から1万年以上やってきたことを私も縄文人を見習ってやっている。
「武吉廣和のHATIMAKI PROJECT」5年目にしてやっと一個。
四万十町で広く栽培されている「フクユタカ」の「フク」は九州の福岡県の「福」だと想像している。高知県農業試験場推奨品目の大豆で、農家に手厚い補助金が出、2009年当時、30キロ5000円で「懸米」経由で販売されていた。
在来種大豆の各地の道の駅での販売価格は同じ30キロで比較すると約3万円前後で、なんと価格に6倍やそこらのひらきがある。中山間部切り捨て政策が続き、後継者もいない80歳以上になったお年寄りの百姓夫婦が自家用に細々と自家採種で何百年も続けてきて、いいかげん絶滅種なのに、これでは誰がどう考えてみても価格競争でさらに追い打ちをかけているとしか見えない。
在来種の大豆が絶滅すれば選択肢が無くなり、「フクユタカ」の種を買わなければならなくなる。
さらにはモンサントの遺伝子組み換え大豆の種を買わねばならなくなるかもしれない。
3年に一度、あるいは毎年、種を買い更新しなければ、品質劣化により、市場に買い取ってもらえなくなる。
モンサント社からラウンドアップと高価な遺伝子組み換え大豆の種を毎年買っても、周辺の雑草まで完全に殺せず、その結果、雑草に耐性が出来、ラウンドアップを散布しても枯れない雑草が生まれる。人間で言えば、「どんな抗生物質も効かない結核菌」のような「モンスター雑草」が生えてくる、実際、世界各地ですでに起っている。
日本では、菜種でも、この同じ汚染現象はすでに起っている。キャノラー油原料として輸入された遺伝子組み換えの菜種が船から陸揚げされ、トラックの荷台からこぼれ落ち、港から工場へのルートの国道沿いに拡散して、自生している。除草剤が効かないから手で引き抜くしかない。
将来、大根や小松菜だけでなくアブラ菜科すべての植物、例えば、キャベツやブロッコリーと交雑することも危惧されている。
長い目でみれば原発と同じように汚染除去不能で草の葉一枚食べれなくなる。
昆虫がいなければ、草が生えなければ、人は生きていかれない。その土地で氷河時代から1万年間の気候変動、火山活動、昆虫、鳥、鹿、細菌、雑草達とともに生きてきた在来種の農産物をも純日本の伝統文化として大切にしよう。
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