秋を生ける壺と秋の器展
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祝 高速道路開通  穴窯で赤松30トン、10昼夜の焼成。

期間:2014年 9 19日(金)〜10 15日(水) 時間:AM 9:00〜PM 5:00 *木曜定休
会場:ギャラリー 龍窯
   〒786-0097 高知県高岡郡四万十町日野地326
  <ギャラリー龍窯 地図>
   Tel&Fax/0880-23-0054
   作家携帯/090-4506-0572
   ● 龍馬空港からギャラリー龍窯まで 車で1時間半。
     四万十町中央ICより 車で25分、松葉川温泉 手前1kmに看板あり。

 
龍神さまの粘土

今年は時間雨量100ミリというゲリラ豪雨というピンポイントの空襲に日本列島全体がおびえている気配がする。
まるで破壊された戦場の風景と変わらない。
龍神様は法則どうりの御働きであるにしても、その猛威たるやすさまじく、我々の文明は、なんと、もろく、無力であることか。
8月の広島の八木地区の大規模な土石流による大惨事のテレビのニュースを見ていて、上空からの映像に眼が釘付けになった。

花崗岩の風化地帯に陶土層が形成されるプロセスがそのまま見てとれた。
乾燥するとカチンカチンに堅くなるのが陶土の特徴である。
何十万年、いや、何億年にもわたって花崗岩の大地が風化、鬼マサと呼ばれる堅いザクザクの石英の砂と、柔らかく風化しやすい長石の粘土分が分離され、不純物が多い長石質カオリン粘土層が形成されるプロセスが、大規模泥流災害の映像としてそのまま写っていた。
私の記憶では1970年に高知市も台風10号で時間雨量98ミリを体験し、市長が「自分の命は自分で守って下さい。」という当時としては驚愕の緊急放送をした。
高知県は甚大な被害で、土佐市高岡から領石にかけて緑の山々には土石流で出来た黄色い縦筋が延々と続き、削られた地層が丸見えになっているので、私は地質鉱産図を手にリュックを背負い、虚空蔵山帯のシリカ質カオリン層を捜した。

当たり前のことではあるが、老いて風化の進んだなだらかな中国山脈と違い、四国山脈のような若く猛々しい山々は骨ばった男のようなもので岩ばかり、粘土層は無い。
粘土があるのはなだらかな地形で、粘土粒子は谷川から河川、海へと洗い流され、たまたま地形に恵まれば、傾斜のゆるい中腹の窪地に溜まる、そういう土地は果樹園か住宅団地になる。

何億年もの間に龍神さまの御配慮で不思議なことが起こり、高知県を東西に走る虚空蔵山帯にレンズ状のシリカ質カオリン粘土層が形成されることがある、これを私は捜す。
なかでも鉄やマンガンという不純物の無い、ほのかに桃色がかった白いシャーベットのような純度の高い粘土を捜す、ツルハシを打ち込んで、サクッとしたアイスクリームのような清潔感のある縮緬ジワが出れば、感動的な高台削りの風景も見える。
おおよそ粘土堀りの段階で勝負はつく。

1983年頃、大学時代の友人で信楽の陶料会社の今井繁夫氏に黄ノ瀬の雲林院さんの粘土採掘場まで案内して頂いた。
高知の粘土選びを試してみようと、様々な色の粘土層のなかで「そこの粘土層が一番上質ではないですか。」と質問したら、「よく分かるな。」という答えだった。
因みに黄ノ瀬土は古琵琶湖の底に沈殿した粘土、琵琶湖も北へ北へと旅をしている。

 

 

 

 

 

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