奥四万十の花鳥風月 土佐の鬼才 武吉廣和展
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祝 奥四万十博  穴窯で赤松30トン、10昼夜の焼成。

期間:2016年 625日(土)〜731日(日) 時間:AM 9:00〜PM 5:00 *木曜・定休日
会場:ギャラリー 龍窯
   〒786-0097 高知県高岡郡四万十町日野地326
  <ギャラリー龍窯 地図>
   Tel&Fax/0880-23-0054  作家携帯/090-4506-0572
   ● 龍馬空港からギャラリー龍窯まで 車で1時間半。
     四万十町中央ICより 車で25分、松葉川温泉 手前1kmに看板あり。

幻の鳥・八色鳥の棲む奥四万十の秘境で、38年間穴窯を焚く。

今日は6月14日、6月は「水の月」の意味で古来から「水無月」と呼ばれて来た。
梅雨に入って毎日毎日完熟した梅が落下・・・妻はもう完熟梅ジャム作りに夢中。
今年は「青梅ジャム」から「完熟梅ジャム」への詳細なグラデュエーションを完成、
いずれも濃厚な風味!

昨日の夕暮れ、家族4人で蛍狩りの散歩に出た。
道で目の前にふわふわ飛んで来る源氏蛍を片手ですくいとる。
手のひらで静かに光るのは大きな源氏蛍である。
放つと田植えの終わった重い銀色の鏡のような水面を越えて四万十川の遥か上空を飄々と飛ぶ。
眼下の川面では無数の川鹿カエルの澄んだ美しい鳴き声が湧き、蛍が飛び交う。
すぐ背後の山ではピーッという鳥のような鹿の鳴き声も聞こえる。



半月ほど前、ギャラリー玄関の大壺に水上げ用の焼きミョウバンを使ってノリウツギ、コガクウツギ、ウツギの卯の花ずくしを生けていて、松葉川温泉の方で八色鳥の鳴き声を聞いた・・・
遠いが確かに「シロペン クロペン」だった、
いつも聞こえる鶯やコジュケイの鳴き声「チョットクエ チョットクエ」とは違う・・・
ペアリングの相手を捜しているのだろうと思ったが、それ以来、毎日、毎日、自宅周辺の山で鳴き続けている。

*タイトルバックの山の写真は、自宅のテラスから東方向にカメラを構え、八色鳥の鳴いている山を撮ったもの。




鶯は一番早く春先から鳴いているが、卯の花の咲く頃から聞こえている赤翡翠の
「ミズヒョロン、ミズヒョロン」という美しい鳴き声もいい、
このごろ聞こえ始めたホトトギスの「テッペンカケタカ」という鳴声にも
どうしたことか胸がキューンとなる。
アカショウビンと同じ頃に鳴き始める蝉のヒグラシも朝早くから心に染みわたる
美しい声で鳴いている。
奥四万十の秘境には、日本古来の「花鳥風月」がそのままある・・・。


先月の中頃だったか神奈川県在住のカービングの第一人者、遠藤勇氏御夫妻が突然訪ねて来られた。
7年前だったか高知市内のギャラリーでカービング展のお手伝いをした際、カービング展会場に来てもらった写真家の高橋宣之氏から、同じ奥四万十の十和の大道で八色鳥が営巣しているという情報を聞いたことがあったので、昨日、大道に住む竹笛作家の鈴木さんにフェースブックで問い合わせたところ、大道の山でも朝から八色鳥は鳴いているという返事だった。

遠藤氏はおそらく大道にはサンコウチョウも営巣しているだろうと
おっしゃっていたことを思いだした。

      *サンコウチョウはピヨロピ、ホイホイホイと鳴く、名前は、前奏のピヨロピを
       「月日星(ツキヒホシ)」と聞いて、三つの光の鳥、三光鳥と呼ぶという。


幻の鳥、八色鳥は高知県の県の鳥で、
東南アジアのスマトラから、
営巣してヒナを育てるために、
ここ奥四万十の秘境にまで飛来してくる。

この奥四万十が県内で最も降水量が多い山岳地域であることが八色鳥の営巣の条件、すなわち捕食するミミズが豊富なことにつながるのでは・・・と思う。






私が、38年前、
四万十川ブームのはるか前、赤松が最後まで残る
自然豊かな秘境を目指して
ここに来たことに似ている。



信楽の自然の山々と調和し、
オーガニック農法を推進するMIHO MUSEUMのように、
奥四万十のギャラリー龍窯という
自然釉の美術館が上部構造とするならば、
自然農法の農園作りが下部構造である。



<イラスト/武吉宣昌>

 

 

 

 

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